降級制度廃止を検討

数日前から複数の媒体で報道されている「降級制度廃止」に関するニュース。現在、4歳馬の収得賞金がダービーの翌週から半減されるという降級制度が設けられていますが、どうやらこれが来年にはなくなるらしいというものです。

ネット上では様々な意見が飛び交っていますが、個人的には大反対。現行制度だと上級条件の番組が組みにくく、それが改善されるというのがメリットとして挙げられていますが、正直、「で?」って感じです。別に500万下でも1600万下でも、ファンにとっては大きな差はない気がします。じゃあ誰にとってメリットがあるのかと言うと、オープンや準オープンで活躍できるレベルの馬を多数所有している一部の大馬主や、そういった馬を多数預かる一部の厩舎だけなのではないかと。単純に賞金の高いレースが増えるわけですから、そこで好走できるレベルの馬が持てる馬主、管理する厩舎にとってはそれはそれは大きなメリットになるでしょう。

しかし、管理人も一口を始めてから改めて痛感したことですが、準オープンレベルってけっこう凄い事なんですよね。当然、そのレベルの馬は値段も張ります。もちろん、高い馬がみんな走るわけではないと言っても、やっぱり良血の高額馬の方が、零細血統の安馬よりも走る確率は圧倒的に高いですから。

また、そういった高額馬というのは、作るのにもお金がかかります。ディープの種付け料なんて3,000万円ですからね。そうなると、そういった高額馬を持てない馬主や、作りたくても作れない生産者、預けてもらえない厩舎は、下級条件で細々と賞金を稼ぐことで生計を立てているわけです。

それが、降級制度が廃止されるとどうなるのか。これまで上級条件で頭打ちになっても降級して再び活躍することで得ていた賞金が入らなくなってしまうわけです。言葉は悪いですが、これは小規模な個人馬主、零細牧場、弱小厩舎にとって非常に痛手です。場合によっては廃業する方々が出てきたっておかしくありません。下手にクラスが上がり賞金が稼げなくなったら、とにかく出走手当で稼ごうと馬を無理使いするケースだって出て来るでしょうから、馬にとっても不幸な事です。

もちろん、現行の降級制度に全く問題がないわけではありません。特に安田記念を目指す4歳馬にとっては降級が高いハードルになっているのも事実です。しかし、それでもこの廃止案は完全な愚策としか思えません。特にここ数年は2歳戦の番組を充実させてきたこともありますから、降級が廃止になったら、2歳時に実質500万下レベルのオープンや重賞を勝ってしまった馬が行き場を失くすだけです。そうなればおそらく抹消時期も早まってくるでしょう。

さらに、早い時期に頭打ちになった馬は今以上に地方に流れていくことが予想されます。そうなれば地方競馬は元中央馬で溢れることになり、今度は地方競馬の馬主や生産者の生活を脅かすことにもなるのです。

これを愚策と言わず何と言うのか、改悪と言わず何と言うのか。結局、JRAは自らの懐と某巨大グループの事しか考えていないのか。せっかく競馬人気が回復傾向にあるというのに、こういった馬鹿げたことばかりしていてはファンは離れていくだけです。競馬ファンに定着している夏の降級馬狙いという馬券戦略だって使えなくなるわけで、夏競馬の購買意欲を削ぐことにだって繋がってしまうというのに、何故JRAは真に守るべき立場の方々やファンの事を考えられないのか。

とはいえ、まだ確定したわけではないですし、馬主や調教師の中には反対している人も当然たくさんいるそうなので、降級制度の廃止案が廃案になることを心から望みます。

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