【JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY】選定レースに全日本2歳優駿を追加
少し前のニュースになりますが、ちょっと……、いや、かなり気になる点があったので、今回はこのネタを。
JRAは1日、日本馬を対象としたケンタッキーダービー出走馬選定シリーズのロードトゥケンタッキーダービーに全日本2歳優駿を加える事を発表しました。
まぁ、2歳のダート王決定戦だしね、それ自体には何の文句もないし、むしろ歓……、いや、ちょっと待て。なんだこれ???
■ポイントの詳細
カトレア賞:1着10pt 2着4pt 3着2pt 4着1pt
全日本2歳優駿:1着10pt 2着4pt 3着2pt 4着1pt
ヒヤシンスS:1着30pt 2着12pt 3着6pt 4着3pt
仮にも統一GIである全日本2歳優駿が500万下のカトレア賞と同じ価値だと? で、ヒヤシンスSがその3倍? なんじゃそれ?
という事は、仮にカトレア賞と全日本2歳優駿を連勝しても、ヒヤシンスSの勝ち馬には及ばず、タイトなローテーションでヒヤシンスSにも出走した上で最低2着には入らないと権利は獲れないと。え、これ、前の2走、意味ある? 結局、ヒヤシンスS出走は絶対条件みたいなものじゃん。もちろん、全ての馬がケンタッキーダービーを目指すわけではないから、ヒヤシンスS不出走でも権利が回ってくることはあるんだろうけど、仕組みとしてちょっと意味わかんないですよね。
しかも、よくよく考えたらヒヤシンスSって賞金別定なんですよね。って事は全日本2歳優駿の勝ち馬が出走した場合、最低でも58.0kgを背負わされるわけなんですよ。明け3歳の2月に。JRAは本気でケンタッキーダービーを目指す素質馬を自らの手で壊したいのでしょうか。ま、普通に考えてそれだけの素質を認められる馬だったら、その時期に58.0kgを背負ってレースに出ようなんて、まずしないですよね。つまり、結局はヒヤシンスSを勝ったもの勝ちって事だし、もっと言えば、ケンタッキーダービーを目指すなら全日本2歳優駿は勝たない(出ない)方がいいって事になりそうです。うん、JRAらしさ爆発の本末転倒施策ですね。アホらし。
創設当初から言われていた事ですが、そもそも条件戦のカトレア賞が対象レースなのもやっぱり意味分からないし。本気でケンタッキーダービーを目指して少しでもポイントが欲しい場合は、それまでは500万下やオープンを勝っちゃダメって事ですからね。でも結局はヒヤシンスSを勝ったもの勝ちで……。何かの記事にもありましたが、これってテレビでよくある「最終問題はポイント100倍!」みたいなクイズ番組のノリと一緒。この矛盾だらけのシリーズのあり方を考えた人、決めた人、納得しちゃった人、全員本気で馬○なんだなぁとしか思えないですね。
解決方法なんて簡単な事ですよ。2歳~3歳前半までに複数の中央ダート重賞を新設して、横並びにポイントを振り分ければいいだけの話。なのに何故それをしないのか。仮に重賞を新設するのが難しいのならまずはオープン特別だっていいんだし、北海道2歳優駿とかの交流重賞を対象にしたっていいはず。原則として、ケンタッキーダービーと同じ左回りに拘っているのはわかりますが、日本とアメリカの競馬が違うのなんて当たり前なんだから、別に右回りの対象レースがあったっていいじゃないですか。
それに、今の対象レースが全部1600mという点にも違和感を覚えます。ケンタッキーダービーは2000mで、その後の3冠路線まで視野にいれた場合、ベルモントSは2400mですよ。たとしたら、マイルに適正がある馬ばかりが選ばれたって向こうで好走するのは簡単じゃないでしょ。実際、ラニなんてヒヤシンスSは距離が短すぎて大敗しているんだし。個人的には暮れの中京にダート1800mの2歳重賞を新設、京成杯もダート1800mに。ついでに東京ダート2100mでも重賞なりオープンなりで対象レースを作るべきではないかと。JRAとしては、誰か一頭でも遠征してくれれば別にその馬が勝とうが負けようがどうでもよくて、ドル箱の海外馬券でボロ儲けできればそれで十分って事なんでしょうけど、ただ行くだけじゃ日本競馬の発展には繋がりませんよ。勝てる可能性を持った馬が遠征してこそ、意味があるし、ファンも業界も盛り上がるんじゃないですか。
何故、どうして、JRAの偉い方はこんな当たり前の事が理解できないのでしょう……。なんか、いち競馬ファンとして、とても悲しい気持ちになりました。お願いですから、JRAはもうちょっと、ほんのちょっとでいいので、真面目に仕事をしてください。どうか、どうかお願い致します。