もう一つのダート決戦

何故これがオープン特別なのか。随分前から「これは重賞にするべきでしょ?」と思っていたレースですが、今年のメンツや今後高まるであろうレースの価値を考えると、これが重賞ではない意味が全くわかりません。ホープフルSなんぞをGIにする前にやる事あると思うんですけどね。

そのレースというのは、言うまでもなくヒヤシンスSの事です。今年度から創設された「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」のメインとなるレース。というだけでも重賞に格付けすべきだと思うんですけど、まぁ、それは今はいいでしょう。それを言ったら11月後半施行のカトレア賞(500万下)が対象レースっていうのもわけわかりませんからね。早めに2勝目を挙げちゃった馬はチャンスを一つ失うとか全くもって意味不明ですし。そんな素っ頓狂な事ばかりしているJRAだって、ここを勝ってケンタッキーダービーに挑む馬が増えれば、さすがに考えてくれるでしょう。2歳~3歳上半期のダート重賞は多くのファンが望んでいる番組ですし、いつまでも世界最高峰のレースの前哨戦が世界基準で言うところの準重賞なんてありえませんから。

主催者への文句はこの辺にして、肝心のレースの考察を。冒頭で書いた通り、今年のメンバーは本当に凄いです。以前、『米三冠に日本馬多数登録』というタイトルの記事を書きましたが、基本的にはそこに名前のある馬が中心。ケンタッキーダービーに行くにはここでポイントを取るか、地元の前哨戦やUAEダービーで結果を残す他ないですから当然と言えば当然ですね。で、誰かしらが地元の前哨戦に挑むなんて話は出ていないようなので、今回の馬柱に名前のない馬は米三冠戦線から脱落ということでいいでしょう。

それに該当するのが、タスクフォース、ハイランドピーク、マイブルーヘブンの3頭。タスクフォースとマイブルーヘブンは戦績や競馬の内容から「無理だろうな」とは思っていましたが、ハイランドピークはちょっと残念。アメリカ競馬のように前々から飛ばしていった前走で押し切っていれば、きっとここにも登録してたんでしょうけど、それを勝ちきれなかったことで方向転換という感じなのでしょう。馬自身はかなり力はあると思うので、今後はユニコーンS、JDDあたりを目標に頑張ってもらいましょう。

で、ようやく本題のヒヤシンスSのメンバーについて。アディラート、エピカリス、コーカス、フォギーナイト、モンサンレガーメ、レヴァンテライオンの6頭については、以前触れているのでここでは割愛。今回は、米三冠には登録していない有力候補について見ていきたいと思います。

まずはアイルハヴアナザー産駒のハイパーノヴァ。デビュー戦はハナ差2着も3着馬は8馬身も突き放す勝ちに等しい内容。その後、未勝利と500万下を連勝。いずれも好位抜け出しの危なげない競馬で、それぞれ2馬身差、3馬身半差の完勝ですから、まだまだ底を見せていないと言っていいでしょう。相手は強くなりますが、チャンスはありそう。

続いてスマートファルコン産駒のリヴェルディ。こちらはデビュー2戦いずれも東京ダートマイルで無傷の連勝。初戦はイレ込みもキツく道中もフワフワした走りでしたが、それでも勝ち切ってしまうあたりは能力の高さでしょう。浜中も「奥がありそうな馬。これからどんどん良くなってくる」と将来性を高く評価していましたし、気性面の課題さえ克服できれば出番があるかも。

最後はファスリエフ産駒のキャプテンキング。流れに左右されやすい脚質から善戦止まりのレースも多いですが、ダートでは[2-2-2-0]と、とにかく崩れない末脚が魅力。前走は4角12番手から後方一気で突き抜けて3馬身差と強い内容で、展開さえハマればオープンでもやれる力はあるかと。個人的には、その前走を14番人気2着のハットラブから買っていて、この馬がヌケで外したので特に印象に残っているというのもありますがw

とまぁ、こんな感じでしょうか。1番人気が確実なエピカリスにプラタナス賞で完敗しているシゲルコング。そのコングにオキザリス賞で敗れたシゲルベンガルトラは軽視でいいでしょう。あとは、米三冠登録組の中で唯一の1勝馬フォギーナイトがなんとか5分の1の抽選を潜り抜けてくれればといったところですね。

現時点では出走予定馬の半分も消せていないので予想はかなり頭を悩ます事になりそうですが、単純にどの馬が一番強いのか、そして、誰がケンタッキーダービーへの挑戦権を掴むのか。正直、同日のGIよりも楽しみな一戦です。勝手な希望としては、どうせなら米三冠に登録している馬が勝って、実際に遠征して、ケンタッキーダービー、プリークネスS、ベルモントSを皆勤してくれて、それら全部の馬券が買えるようになるといいなぁと。ま、ラニみたいにタフな馬ってのはそうそういないですから、米三冠皆勤は簡単ではないと思いますけど。

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